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    『ぼくのメジャースプーン』 辻村深月

    • 2011.01.10 Monday
    • 18:46
    辻村深月 『ぼくのメジャースプーン』(講談社文庫)

     「それがふみちゃんのために、ということなら何もしない。力も使いません。さっき言った通り、彼に何かしたところでふみちゃんは元通り話せるようにはならない。やるだけ無意味です」
     (中略)
     「ふみちゃんのためではない。けれど、犯人が許せない。そうですね?」
     「はい」
     「では、それはふみちゃんがされたことの復讐ではあるけれど、彼女とは関係がない。あなたが勝手にやることだと、きちんと認めなくてはなりません。これは、あなたの復讐なんです」(P267‐270)



     罪とは何だろう。

     人殺し。傷害。盗み。だけではない。
     信用や名誉を害するのも罪らしい。
     では心はどうか。動物の命はどうか。

     とある日本人警部曰く。
     
    「奴は大切なものを盗んでいきました。あなたの心です」

     また、とある菜食主義の少女曰く
     
    「卵は卵よ。肉じゃないわ」

     人はそれぞれ色々な考えを持っている。ここまではオッケー、ここからはダメという線引きはまちまちなものです。




     本書『ぼくのメジャースプーン』の登場人物・市川雄太の罪は、小学校で飼育しているうさぎを殺したこと。それによってふみちゃんの心を傷つけたこと。大人の社会は彼に、器物損壊罪として執行猶予3年という罰を与えた。
     でも「ぼく」は納得できない。うさぎとふみちゃんにあんなひどいことをしたのに、市川雄太は自由の身なのはおかしいと思う。かわいいうさぎの命も、やさしいふみちゃんの心も、モノではない。至極真っ当な考え方だと思います。

     しかし。

     秋山教授は「ぼく」に様々な質問をする。それこそ人によって答えの違う、とても難しい問題について。蚊やハエは殺すのに、なぜチョウやトンボを殺してはいけないのか。食べるためになら殺しても良いか。

     でもこの「ぼく」と秋山教授の問答が、とても好きです。
     哲学的だ、と思います。

     でも、こういう質問って、大人が子どもに聞かれて一番困る質問ですよねぇ(笑)
     別に正解なんかないし、秋山先生も正解を教えるわけではない。
     ただ、本当に純粋に子どもに質問されたときに、「そんな下らないことを聞くな」と言って逃げる大人にはならないようにしたい。とは思いますね(もう十分年いってますけどっ!)。きちんと自分の意見は持っておきたいね。




     重ねて、秋山教授は問う。
     罰を与えるならどんな罰が良いか。動物とはいえ命は自分の命や身体で償わせるべきか。そもそも復讐することに意味はあるのか。
     
     「ぼく」には特別な力がある。秋山先生の命名によると条件ゲーム提示能力というらしい。要は相手を罰で脅し、自分の思いのままに従わせることのできる能力。
     特殊能力、超能力、というと明らかにフィクションで、それを使っての復讐といっても、確かにリアリティがない。
     だから、仮に「高層ビルから飛び降りろ。さもないとお前は死ぬ」というダブルバインドを言って、本当に相手が死んでしまっても、イマイチ人殺しという実感は湧きにくい。

     でも、ナイフで人を刺し殺すことと同じ。
     物語中の「声」はナイフと同じなのだ。

     ではなぜ罰を与える?
     確かにふみちゃんの心はぼろぼろに砕かれ、しゃべることすらできない状況だが、命を奪われたわけでもないし、ふみちゃんは将来必ず回復するだろうに。




     最近…でもないか。
     NHKで、「マイケル・サンデルのハーバード白熱教室」っていう番組をやってました。
     ハーバード大学教授のサンデル先生による、「正義」をテーマにした講義を放送したものなんだけど、これが面白くってね。

     命の価値についての話もあって、興味深かったなぁ。
     それに、これはサンデル先生の講義にはなかったと思うけど、犯罪に対する刑罰の重さも、法律論から離れて、何が正義なのかという観点で考えると面白いんじゃないかと思いますねぇ。

     このサンデル先生の著書については、衝動買いをしてしまって、今読んでる(正確には一通り目は通してます)ので、いつか、感想をアップしたいと思います。





     辻村深月さんの本はどれも好きですが、この本は特別。
     だから逆に今までどうにも感想が書けなかった、というのが本音です。
     本当はね、とうの昔にこの小説は読み終えていたんですけどね。思うところがありすぎて、なかなか書いた感想を決定稿にできなかったのだー。

     とりあえずなんとかまとめられたかなー。
     この小説も、やはりたくさんの人に読んでほしいなぁと思うのであります。

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